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[耐震性]壁倍率の大臣認定も取得

2014年からの開発当初は、壁倍率2.0倍でした。その後、パネルの組み方を工夫することで、約4.7倍まで強度を増すことができています。2017年現在は、中大規模の建築でも縦ログパネルが使えるように、より高さがあり、より高い壁倍率のパネルを開発しています。これにより、3階建てくらいまでの集合住宅や、中低層の施設などへも使用可能になってきています。

左:(株)日本住宅・木材技術センターにおける試験の様子 右:耐力壁パネル構成図

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これまでの構法との違い ①ログハウス

丸太組構法は、木を積み上げて建物をつくるため、汎用性という部分では難しさがありました。構法としても非常に個性が強く、たとえば、出隅に「ノッチ」と呼ばれる出っ張りが出るため山小屋風に見えたり、乾燥が進むことで壁の縮小化「セトリング」が起こるため建具まわりに隙間を事前につくっておく必要がありました。縦ログ構法は、丸太組構法のよさを引き継ぎつつ、これらの課題を解決する構法として考えられました。 縦ログ構法では、このような課題を解決したほか、壁式構造ではなく、在来構法をベースにした軸組構造として発展させることで、自由度の高い構法とすることができました。たとえば、部屋の大きさ、窓の取り方などで、丸太組構法よりも自由度を発揮します。

丸太組構法と縦ログ構法の違い

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これまでの構法との違い ②在来構法

縦ログ構法は、着想は丸太組構法ですが、開発は在来構法をベースとしているため、そのよい特徴を多々引き継いでいることはすでに紹介した通りです。製材から設計、建設まで、日本の工務店が最も慣れ親しんだ在来構法をベースにすることで、取り組みへのハードルを下げています。 在来構法との違いとしては、乾式パネル工法による建設の簡易さと工期の短期化が望めること、「木打放し」の量感ある木あらわしの高性能な空間がつくれることといえます。

在来構法と縦ログ構法の製作工程の違い

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これまでの構法との違い ③CLT構法

CLTは、「Cross Laminated Timber(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)」の略で、板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことです。昨今の日本の政策では、中大規模の建物を、このCLT パネルを用いて木造化しようと開発が進められています。木材を合わせて木質パネルをつくる点では縦ログ構法と似ていますが、目的や得意な分野は異なってきます。 まず、パネルのつくり方についてですが、CLT パネルは、木を接着剤で合わせてつくるため、最新鋭の大規模工場でハイテクの加工機械によってつくり、大量生産をすることが前提です。一方で縦ログパネルは製材所と工務店の連携でローテクな機械・技能によってつくられます。ローテクでできるからこそ、日本全国、どこの地域でも生産することができ、その結果地域に産業が根付いてゆくのです。

CLT構法と縦ログ構法の違い

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[生産]森の再生・地域の再生にも資する構法

現在、日本の森林は間伐不足によって、危機を迎えています。一度つくった人工林は、手を入れ続けなければ、荒廃してゆき、土砂災害などを引き起こす原因となります。また、管理が行き届かなければ、山から木を引っ張り出す費用が一層かさみます。そのため、海外の材木に比べて採算が合わないことから、国産材が流通しなくなり、管理できなくなり、また山が荒れてきていくという悪循環に陥ってきます。このような状況の日本の森林に対して、縦ログ構法は解決を導く可能性をもっています。 縦ログ構法のシステムが、過疎化する中山間地の資源を生かし、地域を変えられると私たちは考えています。

建築工事の工程で地域にできることを増やす

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